TECHTILE-kit01
デジタル触感表現の術をより多くのクリエイターの手に広げ、その可能性を皆で議論・共有していくためには、特に技術的な面の敷居の高さが大きな問題になっています。この問題を軽減するべく、テクタイルでは触感表現ツールキットの制作を行っています。TECHTILE toolkitは、基本的にはモノや身体から触感を記録し、モノや身体にフィードバックすることで触感を再生・拡張するためのものです。デバイスごとの細かい設定や接続を意識せずに、表現の試行錯誤の助けとするべく、基本デバイス、身体やモノへのアタッチメント、サンプルソースなどを制作し、公開することを。また、当ウェブサイトを通じて、先端事例の紹介や、造り方の共有を行いたいと考えています。当面は、触感表現ワークショップと連動する形で、ツールキットのかたちを探っていきます。その開発経過は、ブログで報告してまいります。
また、テクタイルは触文化普及のため、ツールキットのハード/ソフトウェア/採集された触感データをオープンソースとして公開し、新たなコミュニティの拡張を目指しております。

ハードウェア

ツールキットを自作する為に必要な機材紹介とDIYでの製作方法を公開します。


作業時間:半日程度(工作作業の慣れによります)
必要な機材:小型オーディオアンプ(ラステーム)、DS振動カートリッジ、オーディオケーブル、マイク(audiotechnica:)、電圧レギュレータIC( 秋月電子のセットTA48M05)、小ネジなど


必要な工具類:のこ、はんだこて、はんだ、ドライバ(精密ドライバセットであるとなお良い)、接着剤、カッター、ニッパーなど


作業内容:はんだつけ、配線作業、切断や切削などの工作作業

本章の根幹をなすテクタイルツールキットについて、このコラムでは、自作の方法を余す事無く公開します。テクタイルチームが制作したプランを推奨例としますが、より気軽につくるために、必要なパーツなどの選定方法も併記します。オーディオの機材を応用使用例とも捉える事が出来るので、お手元にある部品の組み合わせでも簡易バージョンがつくれる可能性大です。
*なお本格的な触感表現を試す指す場合は推奨例を強くお勧めします。別製品であると再現する触感によっては解像度の低下が起こります。

*オーディオアンプの選び方
触感の解像度の要です。特に理由が無ければ推奨のアンプをお勧めします。これはラステーム社の宣伝をしているようですが、テクタイルチーム内で、小型アンプを色々と試した結果、最も触感に適しているという結論によります。触感は主に500Hz以下の振動の再現性にかかっています。なので、スペック可能な限り低い周波数が記載されているものを選ぶ事が重要です。また、スペック表に記載されている事は少ないのですが、アンプへのダメージの原因になる波形の直流成分をカットする為にローカットフィルタが内蔵されている事が多いのですが、これが無い、もしくは回路の一部をいじる事で除く事が出来るアンプを見つける事が触感の解像度の鍵になります。

*マイクの選び方
アンプ同様、スペックはより広いレンジの周波数域をカバーするものを選んで下さい。またケーブルから電源を取得出来るタイプを選ぶと良いでしょう。(電圧レギュレータICはその為に使用します)


本コラムでは、推奨例とオリジナルの3Dプリンタによるケースでの例を紹介します。


テクタイルツールキット IOボックス
1 アンプの筐体を開け、基板を取り出しにします。
2 ボリュームをのこで削ります。


3 筐体の放熱板部分をのこで切り取り、ネジで取り付けます。


4 音響コネクタをハンダつけします。写真はφ3.5mmステレオミニプラグです。コネクタ形状は用途に適したものやお好みのものを使って下さい。


5 マイク電源用のレギュレータ回路をハンダ付けします。


6 取り出した回路の任意の部分にレギュレータ回路とコネクタを接続します。
7 オリジナルのボックスをつくります。出力可能な人は是非以下のダウンロード先からデータを入手して下さい。小ネジなどを用意して上蓋がネジ留めできる仕様です。


8 最後に裏側のゴムを剥がして付けましょう


9 テクタイルツールキット完成です!


触感アクチュエータ

1 任天堂DS振動カートリッジのケースを取り出します。(Yの字の特殊ドライバです。携帯電話用ドライバとしてホームセンターで売っています)


2 振動子を写真の様に剥がします。


オプション:3Dモデルをダウンロード、そして出力可能な人は、色々なものを触りやすくするマイクホルダを付けます。または各自の用途に適した形状のものを出力して試して下さい。ここでは、オーディオケーブルをつなげたアクチュエータサイズのケースの制作例を紹介します。
3Dデータを出力可能な人は、是非試して下さい。


触感センサ

ここでは我々の制作した円錐型のセンサホルダの例を参照します。
1 リンク先よりダウンロードした3Dモデルとマイクを用意します。


2 接着剤でマイクと出力物をとめて完成です。


ソフトウェア

一般向けツールキット用ワークショップ用maxmspパッチ。Max5及び6で動作確認済
触感データの加工、記録、再生などを可能にします。
WS_maxmsp.maxpat


子供向けツールキット用ワークショップ用maxmspパッチ。Max5及び6で動作確認済
触感データの加工、記録、再生などを可能にします。
WS_maxmsp2.maxpat


触感データ

触感をデジタルデータとして記録する試みとして、テクタイルツールキットとカメラを用い、サウンドトラックに触感の振動データを入れた動画の形式を利用し、オープンソース化への試みを行なっております。